明るい気分で過ごすための「肯定語」

「感情は認知・言葉が決める」という認知行動理論の考えがあります。別項「認知スタイルとモチベーション」でも書きましたが、ある失敗を取り返しのつかない失敗ととらえるか、学んで成長への示唆ととらえるかで、感情が左右されます。事実は変わらないが、肯定的な認知スタイルでとらえると見える世界が明るくなるというものです。

気持ちよく肯定的な感情や気分でいるための最も簡単な処方箋は「肯定語」を使うことです。

日常の会話から否定語を締め出して肯定語だけにすることで、気持ちは明るくなり、人間関係は友好的になり、学ぶ力が高まります。自分に「安全空間」を作るのです。

すべてのことはネガティブ側面とポジティブ側面があります。

たとえば、「失敗した、もうだめだ」でなく「失敗した、学んで次はうまくやろう」です。指摘する時は「それはつまらないだめだ」ではなく「それはおもしろい、改善は必要だけど」です。


「半分しかない」          ⇒「半分もある」

「あと1回しかチャンスがない」  ⇒「もう1回チャンスがある」

「大舞台、プレッシャーだ」   ⇒ 「大舞台、チャンスだ」

「あの人は細かい」           ⇒「あの人は緻密」

「うるさい」           ⇒「にぎやか」

「いいかげん」          ⇒「いいあんばい」

「なぜできない」         ⇒「どうしたらできる」

「料理がおいしくない」      ⇒「私の口には合わないけどおもしろい味」

「変わった趣味」           ⇒「個性的な趣味」


ご自分は日ごろ「肯定語」が多いか、「否定語」が多いかを意識してみてください。

肯定語を使う人は、相手の良いところを探しますが、否定語を使う人は相手の悪いところを探します。

「言葉は心の栄養素」、肯定語を使うと心が肯定的になり、明るい気分になります。否定語を使い続ける人は暗い雰囲気を作り、周りから人が消えます。

日本の教育、ビジネスは弱点強化スタイルであり、完璧主義、ダメ出し文化、それで否定語文化になったと推察されます。

気持ちの良い日常、人間関係、組織は肯定語文化で「安全空間(心理的安全性)」にできるものと思います。


参考資料:D・D・バーンズ『いやな気分よ、さようなら~自分で学ぶ「抑うつ」克服法』星和書店、2004

跡見学園女子大学・佐藤研究室(リーダーシップ・モチベーション論、経営心理学)