28章 リーダーシップとマネジメントの違い:リーダーシップとモチベーション
○リーダーシップの3要素
「リーダーシップ」とは、言葉どおり「導く」という行為のことです。率いるためには、3つ要素があります。「夢を描く」「動機付ける」「人と人を繋げる」の3つです。
1.将来を描く、ビジョニング・リーダーシップ
リーダーの仕事の一つ目の要素は、夢を質的に描くビジョニングです。どんなところに、どうやって行くのかの地図を描くことです。職場や家族の行き先はどこかと、夢を描くというリーダーシップです。たとえば、オバマ大統領は米国をどういう国にしていこうとしているのか、夢を描いて、呈示し率いています。父親や母親は、どのような家族にしたいか、どうしたらそうなれるか、夢と地図を描きます。そういう夢があるから、今を一生懸命生きられるわけです。ビジョニングとは、夢を描いて、そこにいくための地図を示すという仕事です。
対して、マネジメントでは、「計画立案、プランニング」がそれにあたります。期初の計画策定、予算策定などがそれに該当します。どちらかといえば、数値が中心となりがちです。
2.動機付ける、モチベーション・リーダーシップ
二つ目は、部下や家族を動機付ける、モチベーション・リーダーシップです。モチベーションを高めて、物事にチャレンジし、好奇心を掻き立て、機会を通して成長させていくというリーダーシップです。「心に火をつけること」です。リーダーシップは今の困難を何とか乗り越えて行こうと、鼓舞する。心への働きかけです。
マネジメントでは、仕事を明示し、達成のイメージを伝え、スケジュール表をきちっと書いて、マイルストーンを確認して、トラブルが起これば解決していきます。
3.メンバーを繋げて盛り上げる、ファシリテーション・リーダーシップ
三番目は人と人を繋げて力を合わせるリーダーシップです。仕事でもスポーツでも一人の力は知れています。心をつなげ、協働して、ことにあたって、困難を乗り越える。人と人とを繋げ、集団の心に火をつけること、チームモチベーションを高め、協働を引き出すことです。「人と人の心」で繋げる、これをファシリテーションといいます。場を作る、人間関係を作る仕事です。
マネジメントはチーム・組織として、組織図に人を落とし込んで行く、業務ごとに人を配置していく、という仕事が該当します。
○リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップとマネジメントはよく混同されます。リーダーシップを理解するため、マネジメントと比較してみます。まとめると以下の式になります。
マネジメント =計画立案 ×スケジュールと進捗管理×組織図と人材配置
リーダーシップ=ビジョンニング(夢・地図づくり)×モチベート(人づくり) ×ファシリテート(場づくり)
極端な言い方をすると、マネジメントは「管理」であり、「PDCAを回す」ということです。マネジメントは「複雑性」への対応、例えば、列車を時間通り運行させる、など。リーダーシップは「導く」率いる、リードであり、「変化」への対応に該当します。例えば、荒野に新たに線路を敷く、という人もいます。
端的なのは、米国の大統領はリーダーシップをとる、リーダーは鼓舞して、そして人を引っ張って行く。大統領府はマネジメントをする。マネジメントは技術(論理)であり、リーダーシップはアート・ハート(感情)である、という言い方もあるかもしれません。
○リーダーシップは右脳の仕事
以上からわかるように、マネジメントは脳の仕事でいえば、左脳といわれる、論理脳の仕事です。リーダーシップは脳の仕事でいえば、右脳といわれる、感性脳の仕事です。別の言い方をすれば、マネジメントは「計画・計算」、リーダーシップは「心を掴む」という対比もあると思います。
心を掴むことと、自分の思い通りに管理することを混同してはいませんか?
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