25章 学習性無力症と自己効力感:リーダーシップとモチベーション
○学習性無力症
心理学の概念に「学習性無力感」というものがあります。
平易に言えば、「やったけど、うまくいかなかった」「試そうとしたが、反対されて、断念した」という経験学習から、「やっても、やろうとしても、無駄だ、駄目だ」という無力感を持ってしまうことです。
うつ病の原因の一つでもあります。高じると「何をしても意味が無い」「やる意味を感じられない」という感覚につながります。
自分が何をやっても、それが認められないこと。やってもやっても、無駄、だめと感じて、どんどん無気力になっていくこと。「賽の河原感」とも言えます。
ビジネス現場でいえば、社内で、色々な提案をしても、悉く否定され、あきらめてしまうこと。家庭では、面白い出来事や思いついたアイデアを親に話しても、「ツマンナイこと言ってるんじゃないの」と聞いてもらえず、好奇心が萎んだケースなど。
○どう解釈するか
目の前にある現実は、自分がどう感じようが、変わりません。それをどう解釈し、どう働きかけるかで変わるのです。「プラスに考えるか」「マイナスに考えるか」であれば、「プラスに考えた方が」可能性が高まると思います。
「マイナスに考えるタイプ」の人は、かつて、「良いほうに考えたら、最悪の結果になり、ひどくつらい思いをした」という「学習性無力感」を持っているのだと思われます。学習性無力感を持つと、抜け出すのが困難です。
○自己効力感
抜け出すヒントとして、「自己効力感」があります。自分が役立っていると感じること。
やる気を高めるには、「自己効力感」に火をつけること。
・どんなくだらないと思われる意見でも聞いてあげて、
・提案する勇気を認めてあげること。そして、
・提案の中身を一緒に高めてあげると、本人は自分のアイデアなのでがんばるし、
成果も期待できるし、取り組みに工夫が効いて、改善力がついてきます。
○小さな達成感
決して闇雲に否定しないでください。ポイントは、コツコツと変えていくこと。「小さな達成感」。小さくても良いから、「少しでも興味を持ち、やってみて、達成感を味わう」ことを続けることです。
まわりの人の配慮は、「小さな成果」を「できた」「よくやった」と「認める」ことです。
よく「否定的な上司」「否定的な親」がいます。何かにチャレンジして報告すると、「それがどうした」「そんなことか」といった反応・評価をします。「学習性無力感」を与える例です。
逆に、どのような些細なことでも、「面白い」「よくできた」「よくやった」と認めてあげることで、プラス思考やチャレンジ精神を育みます。案外、金の卵がころがっているものです。
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